vol.1422026年7月
[今月の表紙]
ハイビスカス
真っ青な空に、目の覚めるような赤い色。強い太陽のもとで大輪の花を咲かせるハイビスカスは、夏を華やかに彩る風物詩。朝に開花し、夕方にはその花弁を閉じてしまう、限られた時間の中で季節を全うする『一日花』の潔さが、その美しさを一層際立たせます。
文月の食材しじみ
この時期に旬を迎える『土用しじみ』は、産卵を控えて特に栄養豊富とされます。
かつては全国各地で獲れていたしじみですが、その漁獲量は今、減少の一途を辿っています。例えば、昭和40〜50年頃は全国で5万トン前後ほどの漁獲量だったのに対し、環境の変化などの影響により、2024年(令和6年)は約9400トンにまで減少。全国一の産地である島根県・宍道湖では、かつて〝船が沈むほど獲れていた〞と漁師さんが話をするくらいだったそうです。
日本で獲れるしじみは、ほとんどが『ヤマトシジミ』という種類。オルニチンやタウリンといったアミノ酸をはじめ、カルシウム・鉄・ビタミンB12などの優れた栄養素が含まれることから、健康食材として古くから親しまれてきました。旬は夏と冬の2回ありますが、『土用しじみ』と呼ばれるこの時期のしじみは産卵を控えて身がふっくらと大きく、〝腹薬〞と呼ばれるほど栄養も豊富になるとされます。
さて、しじみといえば、その旨みを余すところなく味わえるのはやはり味噌汁。江戸時代の庶民の朝食にも欠かせなかったようです。コクのある独特のだしの風味と、暑さで疲れがちなこの時期の体に染み渡るような味わいが絶品! ぜひ身までしっかりいただくようにしましょう。
嬉しいことに、しじみは冷凍によって旨み成分であるアミノ酸が増加します。味が落ちることもないので、この時期に入手した旬のしじみは、砂抜き後にぜひ冷凍保存を。凍ったまま料理に使えます。
料理研究家・フードプロデューサー徳永 睦子さん
福岡県那珂川市にて「フーディアム トクナガ」主宰。一般社団法人全国料理学校協会総師範、公益財団法人日本健康・栄養食品協会九州支部長など食のエキスパートとして活躍。
しじみと豆苗のバタースパゲティ
さっぱりとした味わいの中に、バターのコクとしじみの風味がマッチ!
●1人分●
カロリー
505kcal
脂質
23.1g
糖質
68.4g
塩分
2.9g
調理時間 約20分
※塩分にはスパゲティを茹でる際に入れる塩も含みます。
材料(2人分)
-
・しじみ
(殻付き、砂抜き済)200g
-
・にんにく
1片
-
・ベーコン
2枚(約30g)
-
・豆苗
1パック
-
・スパゲティ
160g
-
・オリーブオイル
大さじ1
-
・白ワイン
(料理酒でも可)大さじ2
-
・バター
20g
作り方
- ①しじみは殻をこすり合わせて洗います。にんにくはみじん切り、ベーコンは5mm幅に切ります。豆苗は根元を切り、さらに、半分の長さにします。
- ②スパゲティを袋の表示時間通りに茹でます。茹で上がる1分ほど前に〈写真1〉のように豆苗を加えて一緒に茹で、ザルに上げます。
- ③スパゲティを茹でている間に、フライパンでオリーブオイルを熱してにんにくとベーコンを炒めます。しじみを加えて白ワインを振り入れ、蓋をして1分程度加熱します。
- ④しじみの口が開いたら②を加えて炒め合わせ、器に盛ってバターをのせます。
調理のポイント!
豆苗はスパゲティと一緒に茹でることで調理の手間を省くことができます。

しじみのピリ辛酒蒸し
にんにくを効かせて甘辛く味付けしたピリ辛のしじみでお酒がすすみます
●1人分●
カロリー
89kcal
脂質
1.4g
糖質
13.1g
塩分
1.7g
調理時間 約10分
材料(2人分)
・しじみ
(殻付き、砂抜き済)200g
〈A〉
にんにく
1/2片
赤唐辛子
1本
酒
大さじ2
醤油
大さじ1
砂糖
大さじ1/2
・青ねぎ
少々
作り方
- ①しじみは殻をこすり合わせて洗います。にんにくは薄切りにし、赤唐辛子は2つに切って種を除きます。
- ②鍋に(A)を入れて煮立て、〈写真2〉のように①のしじみを加えて蓋をし、口が開くまで約1分加熱します。
- ③器に盛り付け、青ねぎの小口切りを散らします。
調理のポイント!
調味料を煮立たせてからしじみを加えることで、火を通しすぎることなく身がふっくら仕上がります。
- レシピ制作・監修/料理研究家、管理栄養士
伊勢木紀三子さん - 雑誌や企業のカタログ、クッキングスクール、イベントなどでの料理講師、クリニックでの栄養指導を行う。
植物と生きものたちとの共生 その2
自然界でたくましく生きる植物には、私たちの知らない生態やたくさんの不思議があります。これまで国内外で深く自然に関わってきた樹木医の吉野賢一さんに、植物たちの興味深いお話を伺います。

植物が繁殖し、花咲く植生環境からしぶとく生き残るためには、鳥や昆虫といった生きものとの協力が欠かせません。両者の共生について、シリーズの2回目をご紹介します。
動物が木の実を隠すことが樹木の成長に
6月号でお伝えした通り、植物は昆虫や鳥に助けられながら受粉を行い、命のバトンを繋いでいきます。同様に、樹木の繁殖や健全な成長にも他の生きものの存在が欠かせません。
ブナ科のどんぐり類やくるみといった木の実は、森に棲むリスやネズミなどの大好物。秋から冬にかけての大切な栄養源として、これらの果実をできるだけ多く蓄えておこうとあちこちの土に埋めて隠す(保存する)わけですが、広い森の中で隠し場所を忘れてしまうこともしばしばです。けれども、これらの樹木にとってはそれが好都合。土に埋められた木の実は、そのおかげで新たな芽を出すことができるからです。小さな野生動物たちが、このような形で豊かな森の形成に一役かってくれています。
賢くて興味深いどんぐりの生存作戦
少し話が逸れますが、どんぐりの生存のための賢く興味深い〝作戦〞をご紹介しましょう。どんぐりは渋味の元となるタンニンを含んでいるため、動物に好まれはしても決して食べ尽くされてしまうことはありません。繁殖の助けを借りつつ、動物から身を守る防御システムもしっかり備わっています。また、童謡にもあるようにコロコロと地面を転がりやすい形状ですが、これは成熟して親木から落ちた際、親木の根元にとどまっていても十分な日光を得にくいので、できるだけ遠くに転がっていけるための手段とも考えられています。
自らの身を守るために、別の生きものを棲まわせる樹木
作戦といえば、植物は外敵から身を守るために実に巧妙な手段を身につけていることがあります。例えば、桜の若葉は葉柄と呼ばれる葉身の付け根からも蜜を分泌します。これは、甘い蜜に集まった蟻が葉の表面を這って〝パトロール〞することで、葉を食べるために寄ってきた害虫から身を守る作戦です。
他にも、クスノキが数種類のダニを棲まわせていることをご存じでしょうか。クスノキには、葉脈の付け根に〝ダニ室〞とも呼ばれるダニの部屋があります。その中の一つにクスノキの葉を食べる『フシダニ』の部屋があるため、クスノキはそんなダニの捕食者である『カブリダニ』を棲まわせる部屋も用意してその増殖を抑えます。さらに、葉の上にもフシダニの天敵となる『カブリダニ類』を棲まわせることで自らの身を蝕害から守っているとされています。なお、これらのダニ類が人に害を与えることはありません。
先月からいろいろな事例をご紹介してきたように、植物の世界では私たちの想像を超えた生存へのさまざまなドラマが繰り広げられています。これらのドラマがいつまでも途切れることのないよう願いたいものです。
- 樹木医 吉野賢一さん
- 1944年(昭和19年)大分県生まれ。樹木医。大分県の農業改良普及員として農政に携わる傍ら、京都大学農学部で農林経済を学ぶ。現在は大分県別府市・南立石緑化植物園(南立石公園)みどりの相談所に勤務。
温めず、常温で飲む日本酒は?
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長・丸・米などの種類がある、紫色の夏野菜は?
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決断するときの常套句。〇〇は投げられたと言う?
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