vol.1412026年6月
[今月の表紙]
沖縄県のフクギ並木
防風林として、民家を守るように県内のあちこちに植えられているフクギ。強い日差しを遮り、周辺を心地よい静けさで包み込んでいるようです。かすかな潮風が通り抜ける小さな並木道は、昔から変わらない島の素朴な風景として訪れる人々の心を和ませてくれます。
水無月の食材オクラ
豊富な栄養を持つオクラ、選ぶ際はやや小ぶりのものを。
ネバネバ食材の代表ともいえるオクラ。春頃から夏にかけて、鹿児島県をはじめ高知県や沖縄県など主に温暖な気候の地域で収穫されています。家庭菜園としても人気のようで、育てていらっしゃる方にとっては、収穫はもちろん、その前に咲く淡黄色の大輪の花もお楽しみの一つではないでしょうか。
私たちが食しているのはオクラの『莢』にあたる部分で、主に五角形の〝角オクラ〞と角のない円型の〝丸オクラ〞の2種類があります。角オクラの方が比較的多く流通しているようですが、断面の可愛らしい星型は料理のトッピングにもぴったりですね。
よく〝ネバネバが体にいい〞といわれますが、β-カロテンやカリウムなどをたっぷり含むオクラの栄養については多くの方がすでにご存じでしょう。粘り成分にはペクチンをはじめとする食物繊維も豊富です。
店頭に並ぶオクラは大きさにかなり差があります。できるだけ大きなものを選びたいところですが、育ちすぎているオクラは筋ができていたりかたくなっていたりするものが多いので要注意。できれば8cm程度を目安に、それより小さなサイズを選びましょう。うぶ毛がびっしりと生えているもの、ヘタの周りに黒ずみがないものが高い鮮度の目安となります。
調理の際は塩を揉み込んでうぶ毛を取り、短時間でさっと茹でてすぐに冷ますことでシャキッとした食感を残すことができます。また、茹でて刻み、冷凍しておくとすぐに調理できて便利です。
料理研究家・フードプロデューサー徳永 睦子さん
福岡県那珂川市にて「フーディアム トクナガ」主宰。一般社団法人全国料理学校協会総師範、公益財団法人日本健康・栄養食品協会九州支部長など食のエキスパートとして活躍。
オクラと豚しゃぶのごまだれサラダ
さっと茹でたオクラの食感と豚肉が好相性!酸味のあるごまだれでさっぱりといただきます
●1人分●
カロリー
271kcal
脂質
20.0g
糖質
7.6g
塩分
1.4g
調理時間 約20分
材料(2人分)
-
・オクラ
10本(約100g)
-
・豚薄切り肉
(しゃぶしゃぶ用)150g
-
〈ごまだれ〉
-
・すりごま
小さじ1
-
・生姜(みじん切り)
1片分
-
・醤油
小さじ4
-
・砂糖
小さじ2
-
・酢
小さじ2
-
・ごま油
小さじ2
作り方
- ①オクラはヘタの先端を切り落として〈写真1〉のようにガクをむき、塩(分量外)を揉み込んで(下の〈写真2〉参照) うぶ毛を取ります。
- ②熱湯にオクラを入れて30秒ほど茹でます。残った湯で豚薄切り肉も茹で、どちらも水気を切って冷まします。
- ③ごまだれの材料を混ぜ合わせます。
- ④オクラと豚肉を皿に盛ってごまだれをかけます。
調理のポイント!
オクラのガクの部分はかたく食感がよくないので、包丁を使ってくるりと1周むきましょう。

オクラと納豆、長芋の混ぜそうめん
3種類のネバネバ素材をたっぷり使って、いつものそうめんにボリュームと栄養をプラス
●1人分●
カロリー
329kcal
脂質
2.9g
糖質
67.0g
塩分
3.7g
調理時間 約15分
※栄養計算は
希釈しためんつゆ100mlを含みます
材料(2人分)
・オクラ
6本(約60g)
・長芋
80g
・納豆
1パック(40g)
・生姜
適量
・そうめん
3束(150g)
・そうめんつゆ
適量
作り方
- ①オクラは上記レシピ①を参照してヘタの先端とガクを除き、〈写真2〉のように塩(分量外)を揉み込んでうぶ毛を取ります。熱湯で1分ほど茹でて冷ましたら小口切りにします。
- ②長芋は皮をむいて細長く切り、納豆は付属のタレは入れずに混ぜておきます。生姜はせん切りにします。
- ③そうめんは茹でて水洗いした後、水気を切って器に盛ります。
- ④③の上に①②の具材をのせ、そうめんつゆを注ぎます。
調理のポイント!
オクラは塩をまぶしたまま熱湯に入れて茹でることで、色鮮やかに仕上がります。
植物と生きものたちとの共生 その1
自然界でたくましく生きる植物には、私たちの知らない生態やたくさんの不思議があります。これまで国内外で深く自然に関わってきた樹木医の吉野賢一さんに、植物たちの興味深いお話を伺います。

植物が繁殖し、花咲く植生環境からしぶとく生き残るためには、鳥や昆虫といった生きものとの協力が欠かせません。両者の共生について2回シリーズでご紹介します。
植物の命のバトンをつなぐ手助けをする生きもの
種子から生まれた芽が生長し、葉を茂らせて花を咲かせ、受粉によって新たな種子が生まれる――。このようなサイクルで生を全うする植物たちにとって、受粉は命をつなぐための大切な営みです。けれども、地面に根を張って生きる植物は、繁殖のために自ら動き回ることができません。そこで出番となるのが、自然界で共に暮らす生きものたち。彼らの協力によって、多くの植物は毎年命のバトンを次に渡すことができているのです。
昆虫や鳥は、植物の受粉に欠かせない存在
私たちを癒してくれる花々のかぐわしい香りと花の色は、蜂や蝶などの昆虫たちにとっても魅力的。彼らはその香りや色につられて花を訪れ、蜜などの養分を盛んに摂取します。その際、昆虫たちの体にはたくさんの花粉が付着するわけですが、彼らがそのまま花から花へと元気に飛び回ることで、花粉を周囲に運んでくれるのです。このように、植物たちは昆虫たちに毎年受粉をサポートしてもらっています。こういった自然界における植物と生きものの協力関係は、イチゴやリンゴなどの果実をはじめとした農業の栽培現場でも大いに活用されています。
ところで、春に咲く花には菜の花やミモザ、タンポポなど黄色い花が多いことにお気づきでしょうか? 黄色は自然界の中でも特に目立ちやすく、一部の昆虫たちにとって見つけやすい色なのだとか。春の訪れをキャッチした植物たちが一早く受粉を促すためにと身につけた色なのでしょう。昆虫たちと、その昆虫が好む花の色を持つ植物は、長い歴史の中で協力関係が進んでいるようです。
〝持ちつ持たれつ〞の関係で成り立つ自然界
このような一連の活動は、昆虫たちが活発に行動する暖かい季節が中心です。では、寒い時期に花を咲かせる植物の場合はどうでしょうか。
例えば、冬場に満開を迎えるツバキの花の受粉は、昆虫の代わりにメジロなどの野鳥が同じような方法で担ってくれます。
花の奥の蜜を吸おうとくちばしを花にうずめる際に大量の花粉が鳥の毛に付着し、鳥たちがそれを運んでくれるのです。
蜂や蝶だけでなく、アリを繁殖に役立てている植物もあります。スミレは、昆虫による「他家受粉」と自ら受粉する「自家受粉」の二つの手段で受粉して繁殖しますが、その種子にはアリが好む糖分が付着しています。アリはその種子を巣に持ち帰って糖分のみを食べ、不要な部分である種子を巣穴から放り出してしまいます。これがスミレにとっては好都合で、親株からより遠くで株を殖やすための繁殖戦略の成功といえるでしょう。
植物が昆虫たちの好む餌を与える代わりに、昆虫たちが植物の受粉をサポート。植物と昆虫や鳥たちは両者の〝持ちつ持たれつ〞の関係によって、お互い寄り添い合いながら命のバトンをつないでいます。
- 樹木医 吉野賢一さん
- 1944年(昭和19年)大分県生まれ。樹木医。大分県の農業改良普及員として農政に携わる傍ら、京都大学農学部で農林経済を学ぶ。現在は大分県別府市・南立石緑化植物園(南立石公園)みどりの相談所に勤務。
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