肝臓病の基礎知識
この記事のここがポイント
- 肝臓病は進行しやすい
- 生活習慣が大きな原因
- 早期予防が大切
こんなに怖い!肝臓の病気 原因・症状・治療法
肝臓の疾患にはさまざまなものがありますが、肝脂肪から肝硬変、そして肝癌へと進展する可能性があることが明らかになっています。
- 肝脂肪とは
- 肝臓は食事などから得た栄養分などから中性脂肪を作り、その一部を細胞内に蓄えるため、健康な状態でも3~5%の脂肪を含んでいますが、さまざまな原因により処理しきれなくなった細胞が、過度に肝細胞内に蓄積された状態を肝脂肪といいます。
肝脂肪の原因は主に、肥満、アルコールの摂りすぎ※、糖尿病ですが、他の内分泌疾患や代謝性疾患、ある種の薬剤の摂取などが原因になることもあります。症状はほとんどなく、健康診断などの血液検査でAST(GOT)、ALT(GPT)が高値を示すことで、指摘されることが多い疾患です。腹部超音波検査を行うと、肝脂肪は正常な肝臓に比べて白っぽく見え、肝臓内部の血管なども合わせて肝脂肪と診断されます。
肝脂肪の治療法としては、食べ過ぎ、アルコールの摂りすぎなど、原因となった食生活をやめ、食事療法、運動療法などの生活習慣を改善することが必要となります。
※ 非アルコール性脂肪性肝炎(Non-Alcoholic SteatoHepatitis:NISHナッシュ) アルコールを飲まない方でも、肝脂肪から肝硬変、肝癌へと進展する病態が存在します。詳しい仕組みはまだ不明ですが、お酒を飲まなくても、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病がある方は、注意が必要です。 - 肝硬変とは
- 肝硬変とは、長年の炎症により肝細胞の壊死と再生が繰り返された結果、肝臓の繊維成分が繊維化し、硬く凸凹になった状態をいいます。日本ではC型慢性肝炎によるものが最も多く、その他にB型慢性肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎などからも発症します。肝機能が次第に低下すると、黄疸、腹水、食道静脈瘤、出血傾向、浮腫などが現れ、さらに進行すると肝癌などから死に至ります。
肝臓病では体に必要なエネルギーや栄養素の合成や貯蔵が十分にできなくなり、体全体の栄養状態が悪化して病気の進行につながるため、栄養状態の維持や改善が大切になります。
肝硬変は基本的に元に戻らない病態です。さまざまな症状に応じて対症療法を行いますが、これらは肝硬変そのものを治すことはできず、進行を遅らせたり、症状を和らげることしかできません。末期肝硬変の唯一の根本的治療法が肝移植です。 - 肝癌とは
- 肝臓から発生した癌を「原発性肝癌」といい、肝細胞に由来する肝細胞癌と胆管上皮細胞に由来する胆管細胞癌があります。日本では90%以上が前者で、C型肝炎やB型肝炎など、ウイルスが関与する肝炎による慢性の肝障害(肝硬変、慢性肝炎など)からの発生がほとんどですが、アルコール性、非アルコール性脂肪性の肝障害からも起こり得ます。
初期の段階では無症状のことが多く、かなり進行してから、黄疸、腹水、腹痛など肝機能障害に似た症状が現れ、腫瘍破裂による腹腔内出血から、腹痛、貧血、ショック症状を呈することもあります。
診断は超音波検査、CT、MRなどによる画像診断が中心ですが、アルファフェトプロテイン(AFT)という血液中の腫瘍マーカーも利用されます。治療は、肝切除手術が最も根治性が高いとされていますが、肝障害の程度や、癌の大きさや数、位置によって手術ができない場合は他の療法がなされます。
まとめ
こうした病気は肝臓疾患の一部にすぎません。病気の種類や進行状況にもよりますが、肝臓疾患を完治させることは難しく、食事制限など長期間にわたって、生活が制約されることになります。手術が必要になれば、肉体的のみならず、精神的にも金銭的にも大きな負担を強いられます。 肝臓に異常がないか、健康診断の数値を気にかけるのはもちろん、飲酒や食べ過ぎを控えて肝臓の負担を減らし、肝臓の働きをサポートする食材などを取り入れるなど、日ごろから肝臓をいたわってあげましょう。