回答した医師の約9割が危惧する熱中症による身体への負担とは
ここまでは、週1回以上お酒を飲む習慣がある20~50代の男女の声を見てきましたが、医療の専門家は夏場の飲酒リスクをどのように捉えているのでしょうか。
ここからは、内科医・消化器内科医にうかがいました。
医師への意識調査|約9割が熱中症リスクを懸念と回答(調査:自然食研 / モニター提供:サクリサ)
「夏場における『過度な飲酒』は、熱中症や脱水状態のリスクを高める要因になると思うか」について尋ねたところ、約9割が『とてもそう思う(47.1%)』『ややそう思う(42.8%)』と回答しました。
大多数が、夏場の過度な飲酒に対して懸念を持っていることが明らかになりました。
専門家の視点から見ても、過度なアルコールの摂取が脱水や熱中症の引き金になるリスクは高いと認識されていることが判明しました。
一方で、お酒を飲む機会が増える夏は、「少し飲み過ぎたかな」と感じる場面も少なくありません。暑い日に冷たいお酒を楽しむこと自体は珍しいことではありませんが、その日の気温や体調、発汗量によっては、普段と同じ飲み方でも身体への負担が大きくなることがあります。夏場は飲酒量だけでなく、その日のコンディションにも目を向けながら、お酒を楽しむことが大切だといえそうです。
では、実際に飲酒をする生活者のリスク認識について、医師はどのように見ているのでしょうか。
「『飲酒翌日は熱中症のリスクが高まること』について、患者・生活者は十分に理解していると思うか」と尋ねたところ、約8割が『十分に理解していると思う(35.7%)』『やや理解していると思う(45.2%)』と回答しました。
リスクについて理解を示している患者・生活者が多いと認識される傾向にあるようです。しかし、「理解していないと思う」という方も一定数おり、認識が社会全体に十分に行き渡っているとはいい切れない状況もうかがえます。
実際には、「飲酒翌日は水分を多めに摂ろう」「暑い日は気を付けよう」と漠然と意識していても、具体的にどのような行動がリスクにつながるのかまでは把握していない方もいるかもしれません。夏は屋外で飲酒を楽しむ機会や、汗をかいた後に冷たいお酒を飲みたくなる場面も増える季節です。何気ない習慣が体調に影響する可能性もあるため、一度自分の飲み方を振り返ってみることも大切ではないでしょうか。
そのような中、夏の飲酒において一般の方がついやってしまう危険な行動は何なのでしょうか。
医師が指摘する危険な飲酒行動|「水分補給代わりの飲酒」が最多(調査:自然食研 / モニター提供:サクリサ)
「夏場の飲酒時において、熱中症リスクがあるにもかかわらず、一般の方が行いがちな行動」について尋ねたところ、『水分補給の代わりにお酒を飲むこと(48.3%)』と回答した方が最も多く、『汗をかいた後にすぐ飲酒をすること(46.4%)』『喉が渇いた際に、水分補給より先にお酒を飲むこと(40.6%)』となりました。
懸念する行動として、「水分補給代わり」「汗をかいた後にすぐ」「喉が渇いた際」といった、身体が水分を欲しているタイミングでの飲酒が上位を占める結果となりました。
これらは、夏の過酷な暑さの中で冷たいお酒による爽快感を得ようとする行動だと考えられます。
生活者にとっては喉を潤す日常的な楽しみ方であっても、医学的な観点からは危険視される習慣であることが浮き彫りになりました。
回答割合も4割前後で並んでおり、特定の行動だけではなく、複数の習慣が広く見られていると医師が感じていることがわかります。また、「汗をかいた後」「喉が渇いたとき」などは、日常生活の中でも起こりやすい場面であるため、多くの人が無意識のうちに同様の行動を取っている可能性も考えられます。身近な習慣だからこそ、一度振り返ってみることが大切だといえそうです。
では、夏場に安全にお酒を楽しむためにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。
「夏場に飲酒する方に対して医師として伝えたい注意点」について尋ねたところ、『飲酒前・飲酒中・飲酒後にこまめな水分を摂る(46.0%)』と回答した方が最も多く、『汗をかいた後にすぐ飲酒しない(45.6%)』『炎天下や高温多湿の場所で飲酒を避ける(37.5%)』となりました。
飲酒のタイミングを問わず、継続的に水分を補給することの重要性が示されました。
また、汗をかいた直後の飲酒や、炎天下や高温多湿の場所での飲酒を避けるべきだという指摘も上位に挙がっています。
アルコールの摂取量のコントロールに加え、飲む前後の行動や環境選びも体調管理の重要なポイントになると考えられます。
いずれも特別な準備が必要な対策ではなく、飲酒時のタイミングや環境を少し意識することで取り入れやすい内容です。また、回答割合にも大きな差はなく、複数のポイントを組み合わせて実践することが重要だと考えられていることもうかがえます。夏の飲酒では、普段以上に体調を意識した行動が求められそうです。
医師が勧める意識すべき栄養素|「ミネラル」が44.0%で最多(調査:自然食研 / モニター提供:サクリサ)
最後に、「夏場の飲酒時に体調管理の観点から意識した方が良いと考える栄養素・成分はあるか」と尋ねたところ、『ミネラル(44.0%)』と回答した方が最も多く、『ビタミンC(41.0%)』『ビタミンB群(38.9%)』となりました。
発汗やアルコールの代謝によって失われやすい『ミネラル』や「ビタミン類」が上位に選ばれる結果となりました。
また、しじみなどに含まれるアミノ酸の一種である『オルニチン』を挙げる回答も一定数見られました。
夏場の飲酒を楽しむためにも、普段の食事からこれらの栄養素や成分をバランスよく取り入れることが大切であると考えられます。食事だけで十分に補うことが難しい場合は、サプリメントなどを活用しながら栄養補給を行うことも選択肢の一つとなるでしょう。
医師は複数の栄養素を総合的に意識することが大切だと考えていることがうかがえます。また、「オルニチン」を挙げる回答も一定数見られ、飲酒機会の多い方の栄養管理に関心が寄せられていることも特徴です。毎日の食生活の中で栄養バランスを意識することに加え、自身の生活スタイルに合わせた栄養補給を考えるきっかけとなる結果といえるでしょう。